はじめに:10年の時を経て、再び「夜の金属美」へ
「カメラは、人生を二度楽しませてくれる。」
どこで聞いた言葉だったか、ふとした拍子に思い出すんです。50代になって再びNikonのシャッター音に耳を傾けていると、この言葉がなんだか、古い友人のように優しく響いてくるんですよね。
かつて、僕が寝る間も惜しんでファインダーを覗いていたのは、Nikon D7100を手にしていた頃のこと.重い三脚を「よっこらしょ」と担いで、広島は大竹にある「ダイセル」の複雑な配管を追いかけていました。
あの無機質で冷たいはずの金属が、夜の光を浴びて宝石のように輝く瞬間……。あのゾクゾクするような高揚感は、今でも指先が覚えています。
あれから10年。今は軽貨物のハンドルを握り、毎日同じ景色を通り過ぎる日々。
ふと夜の工場の灯りが目に入ると、「ああ、またあの中に飛び込みたいなあ」なんて、独り言をつぶやくことも増えました。(あ、もちろん脇見運転は厳禁。安全運転第一の所長ですからw)
そんな僕の元にやってきた、新しい相棒「Nikon Z6」。
最高に頼もしいヤツなんですが、いざ再始動しようとした時、ある「現実」が僕の前に立ちはだかったんです。
20万円の「正解」より、3万円の「冒険」を選んだ理由
カメラの世界に戻ってきて、まず度肝を抜かれたのがレンズのお値段でした。
「え、今のレンズってこんなにするの……?」って、正直、目玉が飛び出るかと思いましたよ(汗)。
「財力の呪文」なんて持ち合わせていない僕。レンズの定位置だって、立派な防湿庫じゃなくてクローゼットの片隅です(笑)。もちろん、Nikon純正の「S-Line」が最高なのは分かっています。 Brabantio広角20mmを揃えようとしたら、あっという間に20万円コース。さすがに、家族の顔と通帳の残高が頭をよぎって、即座にフルブレーキがかかってしまいました。
今の僕が求めているのは、クローゼットの中で大切にしまっておく「箱入り娘」じゃない。仕事の合間や夜の港にガンガン連れ出せて、少しくらいの汚れも「勲章」だと思える、そんな「気楽な相棒」なんです。Z6にはちょっと可哀想ですけどねw
そこで見つけたのが、今回の主役。Viltrox 20mm F2.8。
お値段、約3万円。純正の約7分の1です。
届いた箱を開けて、思わず「かるっw」って笑っちゃいましたよ。樹脂製のボディは、お世辞にも高級感はありません。でも、手に持った瞬間に「あ、これなら毎日連れ回せる」という確信に変わったんです。
高級レンズを買って汚れるのを怖がるより、安いレンズを使い倒して、一回でも多くシャッターを切る。
……これって、意外と50代からの「趣味の最短攻略法」なんじゃないか。なんて、都合のいい大人な損得勘定を自分に許してやることにしました(笑)。
闇の中に響く、至福のシャッター音
広島に住んでいる僕にとって、大竹の「ダイセル」はやっぱり外せない聖地です。
国道を走る車の走行音が、かすかに、でも絶え間なく聞こえてくる。鼻先をかすめる、工場独特の、あの何とも言えない空気。
静寂とは少し違う、独特の緊張感がそこにはあります。
そんな世界の中で、Z6のシャッター音が静かに、でも確かに響く。
……もう、たまらない瞬間ですよね。
このViltrox 20mmが、Z6の広いダイナミックレンジと合わさって、どんな「夜の質感」を僕に見せてくれるのか。想像するだけで、ちょっと顔が緩んでしまいます。

変化の予感:マクロの世界も、いつかまた。
さて、広角レンズの話を長々としてきましたが、実は僕の機材バッグの片隅には、もう一つ大切な「忘れ物」が眠っています。
それが、かつての相棒、伝説のマクロレンズ「タムキュー(Tamron 90mm Macro)」です。
目を凝らせば見える、まるで宇宙のような足元の世界。 あの独特の感覚も、いずれマウントアダプターを手に入れたら、このZ6で再び味わいたいな、なんて密かに計画しています。
さらに、これから挑戦してみたいのが「三原」の工場夜景です。
ここはまだ、僕にとって未開拓の領域.まずは情報収集から始めて、いつか納得の一枚を撮りに行きたい。新しい楽しみが、また一つ増えました。
おわりに:最高じゃなくても、最適ならそれでいい
「20万円のレンズがないから、撮影に行けない」
もしそんな風に思って足が遠のいてしまっているなら、それって人生の大きな損失だと思いませんか?
3万円のレンズであっても、自分が心から納得して、ワクワクしながらバッグに詰め込めるなら、それが今の僕にとっての「最高にちょうどいい答え」なんです。
僕は今夜も、Z6とViltrox、それと使い慣れた三脚を持って、どこかの工場の灯りを探しに行こうと思います。あの金属の匂いと、静寂な夜の空気を感じながら。
現場からの報告は、また次回の更新で!たぶんw
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
それでは、またお会いしましょう。

