カメラを手に取って、ファインダーを覗く。その瞬間、僕たちの世界は「切り取られた四角」に変わります。
標準レンズと言えば50mmが王道ですが、僕は最近、35mmという画角の面白さに改めて気づかされているんです。50mmが「見つめた先」を射抜く視線だとしたら、35mmは「視線を少し左右に振った景色」までをも包み込む。
でも、これがなかなか一筋縄ではいかない。
余計なものが入り込むからこそ、「足で稼ぐ」必要が出てくるし、「何を捨てるか」という引き算の感覚が試される。
いやあ、35mmって、自分を鍛えてくれる「特訓の画角」だなあと思うんです。
今日は、そんな35mmの中でも個性の違う3本の「刃」について、僕なりの想いを語ってみようと思います。

1. 確実な勝利を刻む「記録」の刃:NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
まずは、Zマウントの優等生、1.8 Sライン。
このレンズの良さは、なんといってもその「迷いのなさ」です。ピントを合わせた瞬間の、吸い付くような解像感。風景を切り取れば、遠くの山の木々の一枝まで、律儀に描き出してくれる。
撮影した画像をモニターで拡大して「おぉぉ〜、ここまで写るか!」と唸ってしまうような、そんなレンズでしょうね。
仕事のようにカチッと「失敗できない」場面や、その場のディティールを克明に記録したい時、これほど頼りになる相棒はいないと感じるでしょう。まさに、研ぎ澄まされた「精密な記録」のためのレンズだと思います。

2. 情緒を揺らす「記憶」の刃:NIKKOR Z 35mm f/1.4
一方で、僕の心を強く捉えて離さないのが、このf/1.4ですね。
スペックだけを見れば、f/1.8 Sの方が「正解」に近いのかもしれません。でも、写真って不思議なもので、解像度が高ければ高いほど良い、というわけでもない気がするんです。
僕は、精密なディティールに目を奪われるよりも、シャッターを切った瞬間の「その場の空気」をそのまま残したい。
f/1.4が描き出す世界には、どこか柔らかい温度がある。カリカリの解像感に感性を持って行かれるのではなく、もっと自分の感情を乗せられる余白があると思います。
「綺麗に写ること」よりも「その時の気分が蘇ること」。
この35mm f/1.4は、大切な「記憶」を保存するための、情緒あふれる一本でと考えています。

3. 究極のロマン、そして「財力の呪文」:ZEISS Otus 1.4/35
そして、35mmレンズを語る上で避けては通れないのが、35万円を超える至高の存在、ZEISS Otus。
もはやレンズというより、一つの「芸術品」ですよね。ツァイスの職人たちが妥協を捨てて作り上げたその情熱には、カメラ好き、写真好きの人間として深いリスペクトを感じずにはいられません。
ただ、僕にとってはまだ「身の丈」に合わない、憧れの剣。
……というか、正直に言いましょう。あの圧倒的な描写を引き出すために必要な「財力」という名の最強の呪文を、僕はまだ習得できていないんです(笑)。
魔法の杖(財布)を振るう勇気も魔力も、今の僕にはまだ足りない。
「いつかは、あの領域へ」というロマンは胸に秘めつつ、今は自分の足元をしっかりと見つめていたい。

あなたの「刃」は、どれだろう?
さて、3本のレンズを紹介してきましたが、今のあなたの心に響いているのはどの刃でしょうか。少しだけ、選ぶヒントを置いておきますね。
風景や建築物を高解像度で撮るなら NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

一線一線を正確に、かつ美しく。現場の空気感というよりは、現場の「事実」を完璧に持ち帰りたい。そんな信頼を第一に置く「プロフェッショナル」な志向の方には、この刃が一番よく切れます。
スナップやポートレートが好きなあなたなら NIKKOR Z 35mm f/1.4

シャッターを切った後に「物語」が漂うような、情緒的な一枚を撮りたいなら迷わずこれ。技術云々より、自分の「好き」という感情を素直に写し出せる「ストーリーテラー」のためのレンズです。
AFに頼らず、不便の先にある最高を求めるなら Otus

「撮らされる」のではなく、自分の手でピントを追い込み、一枚の絵を創り上げる。不便さを楽しみ、その果てに待つ究極の描写に酔いしれたい。そんな孤独で高潔な「THE Artist」なあなたへ。
今の僕にできること、伝えたいこと
結局のところ、カメラが好きで、写真が好きで。
今、自分の手にある機材で、どれだけ心を動かせるか。そこに尽きると思うんです。
僕ももう50代。
いきなり金メダルは獲れないし、魔法のように上手くなることもないけれど。
35mmという画角で自分を少しずつ鍛えながら、自分が「好きだ」と思える空気を切り取っていく。
そんな僕の試行錯誤が、同じようにカメラを愛する皆さんの役に、ほんの1ミリでも立てたら嬉しいなあ……なんて、そんなふうに思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

画像出典・注釈
- 株式会社ニコン / NIKKOR Z 35mm f/1.8 S, NIKKOR Z 35mm f/1.4
製品情報サイトはこちら - カールツァイス株式会社 / ZEISS Otus 1.4/35
製品情報サイトはこちら - AIデータ分析・画像生成:Google NotebookLM

